最新研究で知る四国遍路の入門書

時を超えて、四国遍路の謎と魅力に迫ります

四国遍路は、四国一円に広がる弘法大師空海ゆかりの八十八ヶ所霊場を巡る全長1400キロメートルにも及ぶ壮大な円環型巡礼です。その原型は、1200年以上前に空海が行ったような厳しい修行に由来し、長い歴史のなかで変容と発展を遂げ、今もなお多くの人々を四国へ誘い、地域の人々もお接待で迎える、生きた四国の文化です。四国遍路の学術的研究は、歴史学・民俗学・宗教学・社会学・文学など多様な分野で行われ、この20年で飛躍的に進展しました。その研究の中心的な役割を担っている「愛媛大学 四国遍路世界の巡礼研究センター」によって、最新研究をまとめた入門書『四国遍路の世界』が「ちくま新書」から刊行されました。

センターの前身は、2000年に法文学部と教育学部の教員で結成した「四国遍路と世界の巡礼研究会」で、文系教員が共同研究を行い、研究成果を毎年発信してきました。この実績は、文部科学省が2014年に公表したミッションの再定義においても高い評価を得ました。2014年は、四国遍路開創1200年の年として、四国遍路への社会的関心も高まっていました。こうして、2015年には法文学部附属のセンターが誕生し、2019年4月に全学センターとなりました。

センターでは、歴史学、文学、社会学、法律学、経済学、観光学などさまざまな分野の教員が結集し、他大学や博物館・官公庁などとも連携しながら、四国遍路と世界の巡礼の学際的研究を進めるとともに、四国遍路の世界遺産登録への学術的協力など、地域貢献にも努めていきます。

本書は、センターに集う学内外の研究者が、多彩なテーマで四国遍路と世界の巡礼について叙述したものです。本書の最新研究によって、四国遍路と世界の巡礼の謎と魅力について、興味と理解が深まることができれば幸いです。本書は、愛媛出版文化賞を受賞しました。

<目次>
第1講 四国八十八ヶ所の成立 川岡勉
第2講 四国遍路と古典文学 西耕生
第3講 江戸時代の遍路日記に見る四国 胡光
第4講 江戸時代の遍路統制 井上淳
第5講 道標石から見た四国遍路 今村賢司
第6講 四国遍路と女人禁制 森正康
第7講 四国遍路と明治維新 中川未来
第8講 弘法大師空海と四国遍路開創伝承 大本敬久
第9講 納経帳・般若心経・白衣 寺内浩
第10講 俳句・文学から見る近現代の四国遍路 青木亮人
第11講 四国遍路と外国人 モートン常慈
第12講 現代における四国遍路の諸様相 竹川郁雄
第13講 アジアの巡礼 高橋弘臣
第14講 イスラームの巡礼 安田慎
第15講 ヨーロッパの巡礼 山川廣司

参考 URL1: http://henro.ll.ehime-u.ac.jp/

論文情報

タイトル:四国遍路の世界
著者名:四国遍路・世界の巡礼研究センター
ページ数:283頁
発売日:2020年4月10日

助成金等

  • 日本学術振興会 科学研究費助成事業 25284124
  • 日本学術振興会 科学研究費助成事業 17H02386

図表等

  • 『四国遍路の世界』(筑摩書房、2020年4月)

    『四国遍路の世界』(筑摩書房、2020年4月)

    credit : 筑摩書房
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問い合わせ先

氏名 : 胡 光
電話 : 089-927-9316
E-mail : ebesu.hikaru.me@ehime-u.ac.jp
所属 : 四国遍路・世界の巡礼研究センター