環境汚染物質である有機フッ素化合物はアザラシの受容体タンパク質の一種(PPARα)へ作用する

バイカルアザラシのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αに対するパーフルオロアルキル化合物の結合親和性を評価した。バイカルアザラシのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αに対するパーフルオロアルキル化合物の結合親和性を評価した。

本研究では、バイカルアザラシのペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α(PPARα)に対するパーフルオロアルキルカルボキシレート(PFCA)およびパーフルオロアルキルスルホネート(PFSA)を含むパーフルオロアルキル化合物(PFAS)の結合親和性を評価した。またヒトPPARαでも同様の実験をおこない、バイカルアザラシの結果と比較した。インビトロ競合結合アッセイでは、6種のPFCA2種のPFSAがアザラシおよびヒトのPPARαタンパク質にそれぞれ用量依存的に結合することを示した。構造活性相関分析によって、PPARαへのPFASの結合親和性がLBPの体積、水素結合による相互作用、PFASの炭素鎖数・疎水性に依存することが示唆された。また結合親和性の種間比較により、ヒトPPARαと比べて、アザラシPPARαは長炭素鎖PFASに対してより選択的に結合することが明らかになった。コンピューターを用いて構築したPPARαホモロジーモデルによって、アザラシおよびヒトPPARαにそれぞれ2つのリガンド結合ポケット(第1および第2LBP)があることを予測した。さらにコンピューターシミュレーションによって、アザラシPPARαの第1LBPがヒトPPARαよりも高い親和性を示す一方、アザラシPPARαの第2LBPはヒトPPARαよりも低親和性であることを予想した。本研究はPFASがアザラシPPARαへ結合することを明らかにした最初の報告である。

参考 URL:https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.est.8b07273

論文情報

【掲載誌】Environmental Science & Technology
【題名】In Vitro and In Silico Evaluations of Binding Affinities of Perfluoroalkyl Substances to Baikal Seal and Human Peroxisome Proliferator-Activated Receptor α(バイカルアザラシ・ヒトペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αへのパーフルオロアルキル化合物の結合親和性のインビトロ・インシリコ評価)
【著者】Hiroshi Ishibashi, Masashi Hirano, Eun-Young Kim, Hisato Iwata
DOI】10.1021/acs.est.8b07273

助成金等

  • JSPS 科研費基盤 (S) 21221004, 26220103, 基盤 (B) 24380179, 16H05057, 文部科学省共同利用・共同研究拠点「化学汚染・沿岸環境研究拠点(LaMer)」など

図表等

  • バイカルアザラシとペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αとパーフルオロアルキル化合物

    バイカルアザラシとペルオキシソーム増殖因子活性化受容体αとパーフルオロアルキル化合物

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問い合わせ先

氏名 : 岩田 久人
電話 : 089-927-8172
E-mail : iwata.hisato.mz@ehime-u.ac.jp
所属 : 沿岸環境科学研究センター